肝機能の改善に伴い呼吸機能が改善した,高度線維化を伴った非アルコール性脂肪性肝疾患由来の肝肺症候群の1例
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概要
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肝肺症候群は肝硬変症例に合併してみられるが,その頻度は4%から80%と報告によりばらつきが大きい.今回我々は,肝機能の改善に伴い呼吸機能が著明に改善した肝肺症候群の1例を経験した.症例は65歳女性.飲酒歴は無く,ALT優位の肝障害で,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)として加療中,初診から7年後に突然チアノーゼと低酸素血症をきたし,肝肺症候群の診断で在宅酸素療法(HOT)を開始した.開始時,FIB4 index等の肝線維化指標からF3-F4の高度線維化を呈していたと考えられた.HOT開始後2~3年をピークに肝線維化指標は改善を示し,それに伴い呼吸機能が改善し,開始後5年で中止できた.またHOT施行中,非腫瘍性にPIVKA IIが上昇する現象が観察されたが,呼吸機能改善に伴い正常化した.高度線維化を伴ったNAFLDが原因の肝肺症候群は,発症後比較的短期間のうちに肝臓の線維化進展が阻止できれば,可逆的な場合がある.
- 一般社団法人 日本肝臓学会の論文
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