日光蕁麻疹の1例―血清因子陽性の意義―
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概要
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26歳男子の日光蕁麻疹の1例を経験した.Action spectrumはおよそ300~400nmと考えられ,inhibition spectrumはみとめられなかった.Histamine depletion testで膨疹は減弱化し,光線照射後血清ヒスタミン濃度は上昇した.Passive transfer testは30分後で陰性,24時間後,7日後で陽性,reverse passive transfer testは陰性であった.日光曝露した患者血清を患者に皮内注射すると紅斑,膨疹を生じたが,日光曝露した健常人血清では膨疹の誘発はみられなかった.これらの事から,光線の作用を受けた患者独特の物質がallergenとなり,IgE-mast cell-histamine系が関与して膨疹を形成している可能性が示唆された.しかし日光曝露した患者血清を健常人に皮内注射しても膨疹を生じた.この点は上記の機序では説明がつかず,むしろ直接mast cellに作用する可能性IgG-Anaphylatoxin-mast cell系が関与する可能性も考えられたが,passive transfer testが30分後は陰性であった点が矛盾し,allergenとなる物質やIgGが7日後までも注射部位に残存しうるかなどの疑問が残った.
著者
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赤星 吉徳
長崎大学医学部皮膚科学教室
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牛島 信雄
長崎大学医学部皮膚科学教室
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野中 薫雄
国立長崎中央病院
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村山 史男
長崎大学医学部皮膚科学教室
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大神 太郎
長崎市立長崎市民病院皮膚科
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本多 哲三
長崎大学医学部皮膚科学教室
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笹岡 和夫
長崎市立長崎市民病院皮膚科
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