アレルギー性肉芽腫症(Churg-Strauss)の1例―症例報告ならびに本邦症例の統計的観察―
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概要
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38歳男性の定型的アレルギー性肉芽腫症(Churg-Strauss)の1例を報告した.本例は約6年前喘息発作をもって発症.その後消長をみつつ今日にいたる間しばしば発作をくり返し,次いで体重減少,発熱,頻脈,末梢神経症状,筋萎縮,肘頭および膝蓋の結痂性丘疹の出現をみている.注目すべき所見として検査所見では好酸球著増を伴う白血球増多症,心筋障害,胸部X-Pにおける結節状陰影がみられた.また病理組織学的所見では,皮膚生検で真皮内に軽度の好酸球浸潤とともに,真皮結合織の変性壊死巣を囲繞する組織球,類上皮細胞,巨細胞からなる肉芽腫病変が血管と無関係に存在し,筋生検で血管壁の肥厚,線維化ならびに筋線維の萎縮が認められた.本邦における本症報告例は自験例を含めて32例に達するが,そのうち詳細に記載された27例についてみると21例(78%)に皮疹がみられ,これらのうち結節性病変は13例で最も多い.病理組織学的所見をまとめると,血管病変と血管外病変が共に認められたものは11例,血管病変のみのもの12例,血管外病変のみのもの3例であった.また血管病変と血管外病変に分けてみると,血管病変は23例(85%)に認められたが,これらのうち好酸球浸潤を伴うものは肉芽腫性血管炎で6例中5例,真皮の壊死性血管炎ないしPN型血管炎あるいは血管変性で20例中14例,血管壁の肥厚,閉塞,線維化の2例中1例であった.また本症に最も特徴的な血管外病変が認められたものは14例(52%)にすぎず,結合織の壊死を伴う定型的肉芽腫が認められたものは自験例を含め4例とさらに少ない.一方血管病変にも血管外病変にも好酸球浸潤についての記載のないものが3例みられた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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