エリテマトーデス皮膚 Immune complex に関する研究 -変性IgG-IgGリウマトイド因子の関与について-
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概要
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エリテマトーデス(以下LE)患者の皮膚において,表皮真皮接合部 dermal -epidermal junction (以下DEj)の Immune complexes (以下IC)の免疫学的沈着機序と構成成分について検索する目的で,以下のような実験を施行した. 1)全身性エリテマトーデス(以下 SLE) 8例,慢性円板状エリテマトーデス(以下DLE)2例及び対照とした水疱性類天疱瘡(以下BP)1例で, DEj に lgG 沈着のみられた症例の凍結切片に,種々の物質(ヒトCohn fraction II(以下Cohn F II)(無処置,熱変性),家兎 Cohn F II (無処置),ヒト IgG (熱変性), DNA,PBS)を滴下し,洗浄を繰り返し, DEj に沈着した IgG の溶出を試みた. 2)その結果, SLE 及び DLE では,ヒト Cohn F II, ヒト lgG によってのみ lgG の溶出がみられ,他の物質では lgG の溶出はみられなかった.またヒト Cohn FII では熱変性の方が,より稀釈した濃度で lgG の溶出がみられた.一方,対照とした BP では,全ての物質により DEj における lgG の溶出はみられなかった. 3)次に,ヒト lgG の各 component の滴下を試みた.その結果, F(ab)2fragment では lgG の溶出がみられず, Fc fragment でlgGの溶出がみられた1以上の所見より,SLE 及び DLE において, DEjに沈着しているICの構成成分は,ヒトIgG(特に変性IgG)の滴下により抗原過剰となり溶出すると考えられ,変性 lgG・IgRGF の関与が示唆された.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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