単純性血管腫に対する色素レーザーによる治療効果の臨床的および組織学的検討
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概要
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単純性血管腫に対して,色素レーザー装置(Candela製SPTL-1型:波長585nm,照射時間450μsec)を用いて照射術を行い,治療効果を臨床的および組織学的に検討した.それにより作用機序を詳細に解析するとともに,その効果の限界についても検討した.臨床的有効率は61.2%であり,血管腫の組織型による分類では,表在中血管型の有効率が最も高かった.7.0J/cm2の照射により,組織像では深さ1,400μmまでの血管に組織障害を与えたが,血管数および血管径とも有意に減少したのは深さ600μmまでであった.照射による経時的な組織の変化は,照射直後では血管内皮細胞とその周囲2~3μmの範囲で組織破壊がとくに強く,血管から離れるにしたがい組織の障害は少なかった.照射1週後には血管周囲に線維組織が増生し,拡張した血管が存在していたと推測される部位は線維組織に置換されていた.また,残存している血管は狭小化し,内皮細胞の長軸は短縮し,内腔への突出が認められた.これら残存する血管では,照射2週後には再新生を示唆する内皮細胞基底膜の多層化がみられ,周囲の線維組織に圧排され狭小化した血管が多く観察された.今回の検討結果から,色素レーザー照射によって,単純性血管腫に対して選択的な治療が可能であること,およびその作用機序と治療の限界が確認された.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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