不治の病の治療に対する飼い主の期待についての質的研究
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概要
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小動物獣医療技術の発展によって,不治の病の治療が可能となってきた.不治の病の治療のための高度な獣医療の施術を希望する飼い主が存在する一方,臨床の場でその数はそれほど多いと感じられない.そこで不治の病の治療に対する飼い主の希望の実態仮説を確立するため,飼い主に質問紙調査を実施し,KJ法を用い量的・質的に解析した.その結果,飼い主は必ずしも「最新の獣医学知見に基づいた治療」を期待しているわけではなく,「獣医師の人間性等の資質」と「治療プロセスの適切な説明」を期待していた.また,動物の苦痛を取り除く治療を一番に希望し,不治の病の治療自体への葛藤を抱えていた.理論的飽和には追試が必要だが,人間心理が関係する獣医療問題の意味を明らかにし創造的解決に導く質的研究法としてのKJ法の可能性を,本研究は示唆した.
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