心室中隔欠損症が合併した重度肺動脈弁狭窄症に対しバルーン弁口拡大術を実施した犬の1例
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概要
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3カ月齢のイタリアン・グレイハウンドが心雑音の精査を目的に来院した.各種検査の結果,肺動脈弁狭窄症及び筋性部心室中隔欠損症と診断した.肺動脈弁狭窄症は重度であり右室圧の亢進(肺動脈血流速:7.15m/s,推定圧較差:204.5mmHg)により,心室中隔欠損孔を介する短絡血流は右─左方向を呈し,酸素飽和度は93%であった.心室中隔欠損症よりも肺動脈弁狭窄症の病態が予後因子として重要であると判断し,治療として侵襲性が少なく死亡リスクが低い肺動脈弁バルーン弁口拡大術を選択した.右室負荷の軽減に成功し,短絡血流は左─右方向となり酸素飽和度は100%に改善した.術後18カ月が経過したが,臨床徴候は認められず,短絡血流量増大による左室容量負荷を生じることなく良好に維持されている.
- Japan Veterinary Medical Associationの論文