若齢ザーネン種山羊の遅延型地方病性運動失調症に関する病理学的研究
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概要
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2011年6~11月にかけて,同じ農場の若齢ザーネン種山羊4頭が運動失調を呈した.剖検時,4頭中4頭の両後肢筋肉の萎縮,4頭中1頭の小脳の著明な萎縮が認められた.病理組織学的検索では,4頭の赤核,前庭神経核及び脊髄の腹角神経細胞に主座する中心性色質融解が観察された.小脳では,顆粒細胞層と分子層が萎縮し,プルキンエ細胞は消失していた.また,視床では肥大型アストログリアの増生が観察された.脊髄腹根神経線維と坐骨神経では泡沫状マクロファージの浸潤を伴う軸索変性が顕著であった.両側大腿部の骨格筋では筋線維の群萎縮が観察された.免疫組織化学的検索では,大脳白質,視床及び小脳白質におけるvimentin及びGFAP陽性のアストログリアのび漫性増生が観察された.4頭中3頭の血清銅濃度は著しく低下していた.以上の所見より,これらの症例を銅欠乏に起因する遅延型地方病性運動失調症と診断した.
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Japan Veterinary Medical Association | 論文
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