長期にわたって胸腹水の貯留が認められた犬の卵巣腫瘍の1例
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概要
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腹水の貯留を伴ったラブラドールレトリバー犬の卵巣腫瘍の症例に遭遇した.癌性腹膜炎が疑われたが,子宮及び腫瘍卵巣の摘出術のみを施した結果,術後に腹水の貯留は認められなくなった.しかし,術後7カ月に中皮様の細胞集塊を含んだ胸水が認められ,その後に同様の細胞を含んだ腹水の貯留と卵巣腫瘍の再発が確認された.利尿剤の投与及び胸水・腹水の抜去等の対症療法により,術後3年11カ月間生存した.死後剖検では,腹腔内に手拳大の顆粒膜細胞腫の再発,肺には卵巣腺癌の転移と思われる腫瘍の増殖巣が少数認められたが,中皮腫は認められなかった.犬において,卵巣腫瘍に加えて胸水や腹水を伴う場合には,安易に根治不能と判断しないことが重要であると考えられた.
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Japan Veterinary Medical Association | 論文
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