宮城県で発生したアカバネ病の発生時期による病理学的特徴とウイルス遺伝子検出部位の推移
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概要
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2010年東北地方にアカバネウイルス(AKAV)が流行し,アカバネ病と診断された異常産子牛60頭の病変の特徴と中枢神経系(CNS)組織におけるAKAV遺伝子検出部位の発生時期による推移について検討した.9~10月分娩の15症例では,脊椎彎曲及び非化膿性脳脊髄炎が14症例に認められた.11~12月分娩の22症例では,重度の矮小筋症が認められた.2011年2~4月分娩の12症例では,水無脳症が10症例に認められた.免疫組織化学的染色により,9月分娩の子牛1症例の頸髄グリア細胞にのみ,AKAV抗原がわずかに認められたが,ウイルス分離は,すべての症例で陰性であった.一方,AKAV遺伝子は,9~10月分娩の全症例から検出され,12月分娩の一部の症例でも中脳,延髄及び脊髄からは検出可能であった.2月以降分娩の症例では,いずれの部位からも遺伝子は検出されなかった.以上の結果から,AKAV遺伝子は,CNS病変が存在するかぎり,中脳,延髄及び脊髄から長期に渡って検出可能であることが示された.アカバネ病診断においては,これらの部位を中心に検査を進めていくことが重要である.
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