首都圏における児童生徒の Well-Being と保護者の認識との関連と構造
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概要
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目的 本研究の目的は,子どもたちの学校や家庭の楽しさや健康生活といった Well-Being と保護者の子どもへの健康づくりやコミュニケーションとの関連について,小学生,中学生,高校生の世代別•男女別に共分散構造分析を用いて,総合的•構造的に明らかにすること。<br/>方法 対象は,首都圏 A 自治体の公立小学校(4 年生)61校3,930人,中学校(1 年生)33校3,611人,高等学校(1 年生)16校3,882人の児童生徒とその保護者である。平成19年11月に自記式無記名の質問紙調査を実施した。分析対象者は,親子でマッチングできた9,651ペアである。探索的因子分析により抽出された 4 因子をもとに潜在変数を命名し,概念モデルを設定し,共分散構造分析を用いて,定量的•構造的な検討を行った。<br/>結果 探索的因子分析から得られた 4 因子を共分散構造分析で用いる潜在変数として,概念モデルを設定し,モデリングを繰り返し,子どもの楽しい健康生活を規定する関連要因を検討した。その結果,『児童生徒の Well-Being』(『 』は潜在変数を示す)は,『親の子どもの健康への心がけ』から,『親子のコミュニケーション』と『運動』をそれぞれ経由して間接的に関連している構造が定量的に明らかになった。世代別•性別で同時分析した結果,CFI=0.909, NFI=0.889, RMSEA=0.020と良好な適合度が得られた。それぞれの決定係数は,27~40%であった。『子どもの健康への親の心がけ』から『親子のコミュニケーション』への標準化直接効果と,『運動』から『児童生徒の Well-Being』への標準化直接効果は,同様に高い値が示され,さらに,世代別•性別でやや異なる傾向が示された。<br/>結論 首都圏 A 自治体の公立小•中•高等学校の児童生徒とその保護者のマッチングした調査データから,親の子に対する思いや認識レベルから子どもの Well-Being が直接規定されるのではなく,『親子のコミュニケーション』や『運動』と言った実践活動を経由して間接的に規定される実態と子どもの成長過程に伴う微妙な変化について明らかにすることができた。親子の積極的な会話と子どもの運動支援についての重要性に関する定量的指標が得られた意義は大きいと思われる。
- 日本公衆衛生学会の論文
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