都市在宅高齢者における社会経済的要因と健康三要因との因果構造
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概要
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目的:研究目的は,都市居住高齢者における社会経済的要因と健康三要因との因果構造を明確にすることである.方法:都市郊外A市に居住する65歳以上高齢者全員を調査対象とし,2001年9月に13,916人(回収率80.2%)を調査し,2004年にも同様に追跡調査を実施し,65~84歳までの8,162人を分析対象とした.探索的因子分析に基づいて,Basic Activities of Daily Living(BADL),Instrumental Activities of Daily Living(IADL),社会活動,治療疾病数,主観的健康感を観測変数とする潜在変数を"健康三要因"(" "は潜在変数を示す)とした.また,学歴と年間収入額と関連する潜在変数を"社会経済的要因"とした.因果構造は,共分散構造分析を用いた.分析ソフトはSPSS16.0,AMOS16.0 for Windowsを用いた.結果:学歴と年間収入額と関連する社会経済的要因から健康三要因への標準化推定値は,男性では0.002~0.096,女性では0.119~0.137という直接効果が得られた.一方,健康三要因から社会経済的要因への標準化推定値は,男女ともに小さい値であった.よって,健康三要因は,学歴と年間所得額と関連する社会経済的要因から規定される因果構造が示された.適合度指数は,NFI=0.924,RMSEA=0.043であり高い適合度が得られた.健康三要因の55~99%が説明できた.課題:都市在宅高齢者の健康三要因と社会経済的要因との因果構造は,社会経済的要因が3年後の健康三要因を規定する可能性が示唆された.本研究で得られた因果構造について,内的,外的妥当性を高めて検証することが研究課題である.
- 日本健康教育学会の論文
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