北海道の理学療法士における離職状況について
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概要
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【目的】<BR>近年の産業構造、就職意識の変化に伴い、若年者の早期離職の傾向が続いている.理学療法士も近年、養成校の増加に伴い、新卒者が急増している.こうした動向を踏まえ、(社)北海道理学療法士会では、離職状況の把握と離職率軽減に向けた対応を検討することを目的に、会員に対して離職に関するアンケート調査を行ったので報告する.<BR>また、ここでの「離職」とは、職場(勤務先)を変更することと定義する.<BR><BR>【方法】<BR>対象は北海道理学療法士会に所属する一般会員500名、理学療法部門管理者(以下管理者)400名とし、2008年8月に質問紙郵送法で実施した.<BR><BR>【結果】【考察】<BR>有効回答数は一般会員330通、管理者258通で、回収率はそれぞれ66.0%、64.5%であった.今回、以下の3つの点から調査結果をまとめた.<BR>(1)職場への満足・不満足、それぞれで離職に至る理由に差があるのか.<BR> 前職場に満足であった群では、離職に至った理由として「キャリアアップのため」が最も多く、次いで「結婚・出産・育児のため」であった.一方前職場に不満足であった群では、「人間関係がつらい」が最も多く、次いで「キャリアアップのため」であった.離職を考える要因としては、職場内の人間関係、したい仕事ができるかどうか、ストレスの有無、PTとして成長できる職場かどうか、という点が挙げられた.<BR>(2)一般職員と管理者の異なる立場で離職についての考え方に差があるのか.<BR> 管理者が把握している離職者の離職理由(=離職者の表向きの理由)と離職者の本音の離職理由とでは異なる場合があり、異なる内容としては、職場不満足(人間関係やストレス)と関連しうるものが多かった.また、管理者は自分の職場を、「職場に満足している一般職員」と同じような印象を持っており、職場に不満足と感じている職員への対処が不十分となっている可能性が考えられた.<BR>(3)"止む無き"離職を防ぐことができるのか・・・.<BR> 離職を考える時期としては、離職の3ヶ月以上前から考えるという回答が多かった.また、離職について上司に相談する割合は、離職経験が無い人では低く、離職経験がある人では高いという結果が得られ、上司に相談する時には既に離職を決断している可能性が高いことが示唆された.(2)、(3)の結果から、定期的な面接などで一般職員の職場に対する考え(特に職場不満足)や離職に関する考えなどを把握し、状況に応じて早期に対処することが必要と推測された.
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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