星状神経節への直線偏光近赤外線照射が寒冷負荷後の前腕動脈流入量へ与える影響
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概要
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【目的】健常成人の前腕遠位に寒冷負荷を実施し、そのまま安静を保った群、星状神経節に低強度の直線偏光近赤外線(linearly polarized near-infrared ray;LPIR)を照射した群、星状神経節に通常の強度のLPIRを照射した群で、前腕動脈流入量(Forearm arterial inflow;FAI)の回復に差があるかを捉える事が本研究の目的である。<BR><BR>【方法】対象は健常成人男女5名ずつであり、平均年齢は25±3.2歳であった。研究に先立ち、研究内容とリスクを十分に説明して同意を得た。研究実施時間帯は午後6時から8時で、室温は24~26°Cで一定にした。FAIの測定にEC-5Rストレンゲ-ジプレチスモグラフ(Hokanson DE)、血圧と脈拍は自動血圧計(オムロンHEM-757)、寒冷負荷にはCOLD AIR HC-100(OG技研社)、LPIR照射にはα beam(ミナト医科学)を使用した。<BR>対象全員を前腕寒冷負荷群(group1)、前腕寒冷負荷後、低強度LPIR照射群(group2)、前腕寒冷負荷後、通常強度LPIR照射群(group3)に割り当てた。LPIR照射はgroup2では、出力300mW/cm<SUP>2</SUP>、オン・オフ時間は1,9sec、group3では2600mW/cm<SUP>2</SUP>、オン・オフ時間は3,3secとし、直径5mmの小型アタッチメントを使用した。すべての測定開始前に20分間の安静背臥位をとり、それから安静時FAIを測定した。その後、前腕から手指先端までを-35°Cで10分間寒冷し、group1では1分間隔でFAIを測定した。group2では寒冷負荷直後に星状神経節に低強度のLPIR照射を10分間実施し、1分間隔でFAIを測定した。group3では寒冷負荷直後に星状神経節に通常強度のLPIR照射を10分間実施し、1分間隔でFAIを測定した。統計学的分析には、寒冷後のFAIが安静時平均FAIの70%までに回復する時間を算出し、変量効果を対象、固定効果をグル-プとした線形混合モデルを使用した。<BR><BR>【結果】寒冷後のFAIが安静時平均FAIの70%までに回復する時間はgroup3で有意に早かった(P=0.0004)。血圧と脈拍の大きな変動はなかった。<BR><BR>【考察】通常の強度のLPIR照射によって早くFAIが改善したが、星状神経節や周辺組織に対する温熱的効果や光の影響などによって寒冷負荷後の交感神経過緊張状態を緩和させたためと考える。<BR><BR>【まとめ】健常成人の前腕遠位に寒冷負荷を実施し、星状神経節に通常の強度のLPIR照射を実施すると、照射しない場合や低強度のLPIR照射時より安静時FAIが有意に早く増大した。
- 公益社団法人 日本理学療法士協会の論文
公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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