障害者の社会参加と身体活動の関係について:平日と休日における比較
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概要
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【目的】従来、日本においては障害者への理解が低い水準であった。障害者は家や施設で社会と遮断された生活を送っていることが多かった。そのため低身体活動を招き寝たきりの状態を強いられ廃用症候群を起こしやすい環境にあったと考えられる。しかし、近年、日本社会においても障害者に対する理解が深まっており生活も家庭で生活しながら身体障害施設や授産所等に通所し社会との結びつきをもつ障害者が増えてきた。社会参加をすることで在宅障害者は身体活動の機会が増え廃用症候群を予防できているものと考えた。このことを実証するため社会参加と身体活動の関係について調べた。<BR>【方法】月曜日から金曜日まで身体障害者療護施設、授産所等に通所している障害者30名を対象とした。対象者には事前にインフォームドコンセントを得た。心拍数による身体活動の評価をおこなった。心拍数の測定にはPOLARスポーツ心拍計S810iを用いた。心拍数の測定は最も活動していると思われる9時から17時の間に行った。連続心拍数をR-R間隔で測定した。同時に行動記録から4つの生活様式に分類した。<BR>【結果】身体活動の様式は心拍数の確率密度分布から3つのグループに分けられた。グループAは平日より休日のほうが高心拍をしめした。グループBは平日のほうが休日よりも高心拍であった。グループCでは平日、休日とも差はなかった。<BR>【考察】グループAは生活様式の分類からも自主的に活動を行うことができており各施設では能力が十分に発揮されていない場合もあると考えられる。グループBは活動を自己決定できないが活動の機会をあたえると身体活動を行うことができている人が多く所属していた。施設通所を通し社会参加が行われないと早期に廃用症候群をおこすことが危惧される。グループCは重度身体障害であり自分で動くことができない人が多く所属していた。平日、休日に差はなかったがこのグループは社会参加していないと寝たきりになる可能性が高いと思われる。施設等で起き上がり座っていることも廃用症候群の予防につながるのではないかと考えられる。<BR>【まとめ】在宅生活をおくり社会参加している障害者の平日と休日の行動記録と連続心拍数の測定を行った。行動記録から生活様式を4つのグループに分けることができた。心拍数の確率密度分布は3つの様式があった。休日も自主的に屋外で活動する人は平日の身体活動が休日とくらべ低い傾向にあった。休日自主的に活動しない人は平日の身体活動が休日よりも高い傾向にあった。自主的に活動できない人は平日と休日で差がなかった。<BR>
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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