パワーリハビリテーションにおける要介護度の変化
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概要
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【はじめに】福井県小浜市は高齢化率25.67%と年々増加している。それに伴い要介護認定者の出現率は15.2%と増加してきている。要介護状態となることの予防と要介護度の重度化予防をすることは、高齢化社会の重要な課題である。当社では通所介護事業(以下、デイサービス)にてパワーリハビリテーション(以下、パワーリハ)を取り入れている。パワーリハは、要介護度の重度化予防あるいはその軽減に効果があると期待されている。<BR> そこで今回、当社のデイサービス利用者の要介護度の変化をみて、パワーリハが介護予防に及ぼす効果について検討したので報告する。<BR>【対象および方法】当社のデイサービス利用者で平成17年11月1日現在利用している100人中、利用期間中、平成17年11月までに要介護度認定更新のあった56名を対象とした。対象者は1から2回/週、1時間程度のパワーリハを実施した。56名のパワーリハ開始時の要介護度と平成17年11月時の要介護度を調査した。<BR>【結果】56名のうち、要介護度の改善した者は7名(男性2名、女性5名)。要介護度の変化について、開始時要介護1が2名、2が3名、3が2名から11月時要支援3名、要介護1が2名、2が2名となった。<BR> 要介護度の増悪した者は10名(男性7名、女性3名)。要介護度の変化について、開始時要支援3名、要介護1が6名、3が1名から11月時要介護1が3名、2が5名、3が1名、4が1名となった。<BR> 要介護度に変化の無かった者は39名(男性22名、女性17名)。要介護度は、要支援2名、要介護1が21名、2が7名、3が7名、4が2名であった。<BR>【考察】今回の結果において、要介護度の変化のみでは介護予防の十分な効果を捉えることは困難であると考えられた。仮に要介護度の変化なしを効果があると考えた場合、その効果は約82%になるが、調査期間が短く問題がある。また、データ数も少なく今後はデータを蓄積し傾向を把握していく必要があると考えられる。<BR> 要介護認定の調査項目は、関節可動域、日常生活動作、生活関連動作の他に理解や行動の項目も含まれる。また、要介護判定には、家族の介護力、社会的背景、居宅介護支援事業所のサービスを減らしたくない意図など、様々な要因が考えられ、単に身体機能の変化だけでは言及し難いと考えられる。しかし、要介護度が改善されなくても自覚症状において改善が認められたり、介護者の介護負担の軽減がみられており、これらが介護予防にもつながっていくのではないかと考えられる。本学会では、今年9月にアンケート調査を行っており、その結果を含め報告する。 <BR><BR><BR>
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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