当院回復期リハビリテーション病棟における早出介入効果について
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概要
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【はじめに】当院回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟)では,入院患者の生活場面にセラピストが介入することで,「しているADL」の向上を図ることを目的とし,早出を開始した.そこで今回,介入頻度別及び疾患別についての早出効果について検討し,今後の課題について考える.<BR>【対象と方法】対象は,平成17年6月20日から9月30日の期間に,当院回復期リハ病棟に入院し,セラピストが介入した73例(平均年齢73.8±7.4歳)で,内訳は整形疾患27例,中枢神経疾患46例であった.毎週月・金曜日の早朝にPT8名,OT2名の中から2名ずつ,更衣・食事・整容・移動動作の4項目に対して早出を実施した.効果の確認の為,各項目を介入頻度別では,1回介入を行なったものを1回群,2回以上を複数群,疾患別では整形疾患患者を整形群,中枢神経疾患患者を中枢群に分類した.分析方法は,介入前後での各患者のFIM得点を算出した.その後,正規性を認めたものには対応のあるt検定を,正規性を認めなかったものにはWilcoxonの符号付き順位検定を行い,比較した.尚,統計ソフトにはSPSS 11.5J for Windowsを用いた.<BR>【結果】更衣動作では1回群,複数群共に有意差が認められた(1回群,p=0.038;複数群,p=0.004).又,中枢群で有意差が認められたが(p=0.007),整形群では有意差が認められなかった(p=0.109).食事・整容動作では1回群,複数群共に有意差が認められなかった(食事;1回群,p=0.317;複数群,p=0.170)(整容;1回群,p=0.317;複数群,p=0.564).又,整形群,中枢群共に有意差が認められなかった(食事;整形群,p=1.000;中枢群,p=0.081)(整容;整形群,p=1.000;中枢群,p=0.798).移動動作では1回群,複数群共に有意差が認められなかった(1回群,p=1.000;複数群,p=0.072).又,整形群,中枢群共に有意差が認められなかった(整形群,p=0.395;中枢群,p=0.104).<BR>【考察】当院の早出介入効果は,更衣動作のみ改善が認められた.更衣動作は,自室にて実施する為動作に集中しやすく,ADL場面において実施頻度が高いため効果が得られたと考えられた.食事動作は,高次脳機能障害や自助具のチェックアウトが中心であった為,点数の改善が認められなかったと考えられた.整容・移動動作は,病棟と異なる補助具での介入が主であり,監視・介助を要する為,FIM得点に反映されていないと考えられた.以上のことから,更衣動作以外の項目では,動作の質的向上は図れているもののFIM得点に反映されていないといえる.今後は,病棟での各動作の実施頻度が向上する様,病棟看護・介護スタッフとの連携について検討していく必要がある.<BR>
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