短期入院呼吸リハビリテーションに退院後の訪問看護による支援体制を組み込んだ長期的な呼吸ケアプログラムの効果
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概要
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【緒言】<BR> 慢性呼吸不全者に対する呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の有効性は多数報告されているが、プログラム終了後の在宅における運動継続は必ずしも良好とは言えない。そのため、地域における呼吸不全者の支援体制の整備は重要な検討課題であり、現状では、基幹病院との連携のもと訪問看護ステーション(訪看)がその中心的役割を担うことが現実的であるとされている。今回、我々は長野県下の複数の病院・訪看と共同で入院呼吸リハプログラムに訪看によるフォローアップを組み込んだ長期的な運動継続の支援体制を構築し、その効果を検討したので報告する。<BR>【方法】<BR> 対象は本研究に同意を得た高齢慢性呼吸不全者19例(年齢77.2歳)で、呼吸リハ+訪看群(H群)14例、対照群(C群)5例とした。H群は2週間の入院による包括的呼吸リハプログラム施行後、4回/月の頻度で訪看による6ヶ月間のフォローアップを受けた。プログラムの内容は患者教育と運動療法を中心とし、カンファレンスの段階から訪看スタッフが介入することで退院後も一貫した指導が実施できる体制をとった。評価項目は、スパイロメトリー、6MWT、千住らのADL評価表、CRQ、SF36とした。入院時(AD)、退院時(DI)、3ヶ月後(M3)、6ヶ月後(M6)に評価を実施し、得られたデータの比較から支援体制の効果を検討した。<BR>【結果】<BR> 1)肺機能、ADL、SF36には両群とも有意な変化を認めなかった。2)6MWTの歩行距離(6MD)、Borgスケールで評価した呼吸困難(Borg)にはADとM6間にH群のみに有意な改善を認めた(6MD:263.6→299.9m、Borg:5.5→3.9)。3)CRQには下位領域のDyspnea、Emotional Function、MasteryにADとDI間にH群のみに有意な改善(D:16.2→20.6、E:35.3→36.9、M:18.1→20.5)を認めたが、後者2項目についてはM3で有意に低下した。<BR>【考察】<BR> H群のみに6MD、Borgの改善を認め、CRQのDyspneaは改善後に低下を認めていないことから、長期的な運動継続の支援体制が運動耐容能の改善や呼吸困難の軽減に有効であったと推察される。しかし、症例数が少なく対照群との十分な比較は困難であり、明確な結論を得るには至らなかった。今後は症例数を増すとともに、さらに長期の効果や呼吸不全の原疾患別の効果についても検討する予定である。<BR>【共同研究施設】<BR> 磯村クリニック、厚生連篠ノ井総合病院、清水内科クリニック、戸隠国保診療所、長野市民病院、松寿荘、国立病院機構東長野病院、飯網訪問看護ステーション、須高訪問看護ステーション、長野市民病院訪問看護ステーション、訪問看護ステーションふるさと、訪問看護ステーションふれあい田町、訪問看護ステーションとがくし、訪問看護ステーションとよの(順不同)
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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