股関節内旋位による体幹伸展運動時の腰椎-骨盤リズムの変化について
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概要
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【目的】<BR> 腰痛の理学療法を進めるにあたって、評価の際に体幹運動を行わせ、体幹運動時の痛みの発生を確認している。体幹運動時、股関節肢位を変化させることにより運動様式が変化することを経験する。<BR> 体幹運動時の股関節肢位の影響を知ることを目的として、股関節中間位と内旋位における体幹伸展運動(TE)時の腰椎、腰仙椎関節、股関節運動の分析を行った。<BR>【対象および方法】<BR> 対象は、腰部疾患や痛みなどの症状がない健常男性3名(対象A:27歳、168cm、65kg、対象B:28歳、172cm、63kg、対象C:28歳、175cm、62kg)とした。<BR> TEは、安静立位から最大伸展位までの運動とした。各対象に股関節中間位(N)、内旋20度位(IR)の各肢位でTEを3回行わせ、右側方からデジタルビデオで撮影した。動作解析システムFrame-DIAS II(DKH社製)を用いて各条件における次の角度を算出した。<BR>1.体幹角:第7頸椎と大転子の結線と大転子と大腿骨外側上顆の結線のなす角度。<BR>2.股関節角:腸骨稜最高位と大転子の結線と大転子と大腿骨外側上顆の結線のなす角度。<BR>3.腰仙椎関節角:第5腰椎と第1仙椎の結線と第1仙椎と仙骨遠位の結線のなす角度。<BR>4.腰椎角:第1腰椎と第3腰椎の結線と第3腰椎と第5腰椎の結線のなす角度。<BR> 測定値は、3回の平均値を採用した。体幹角10度毎の2、3、4の変化量を算出し、股関節角の変化量を1とした際の腰仙椎関節角、腰椎角の変化量の比率を求めた。体幹角0~10°を前期、10~20°を中期、20~30°を後期とした。<BR>【結果】<BR> 各変化量の比率(股関節角:腰仙椎関節角:腰椎角)は以下の通りであった。<BR> 対象Aは、Nで前期1:1.8:1.4、中期1:7.5:8.0、後期1:0.3:0.7、IRで前期1:1.1:1.1、中期1:0.7:0.4、後期1:4.3:1.6となった。<BR> 対象Bは、Nで前期1:1.2:0.7、中期1:0.8:1.2、後期1:2.2:2.6、IRで前期1:3.0:1.5、中期1:0.7:1.3、後期1:3.2:3.0となった。<BR> 対象Cは、Nで前期1:0.6:0.6、中期1:3.1:2.0、後期1:0.7:1.3、IRで前期1:2.1:2.2、中期1:0.6:0.3、後期1:3.3:1.2となった。<BR>【考察】<BR> 股関節中間位と比較して内旋位では、体幹伸展運動の最終域で股関節の変化量が減少し、腰椎、腰仙椎関節の変化量が増大する傾向にあった。今回の結果より、体幹伸展運動時に股関節内旋位を呈することにより股関節伸展運動が制限され、腰椎または腰仙椎関節の伸展運動が代償的に増大することが確認された。
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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