脳卒中高次脳機能(知的機能)スケールの臨床応用の試み
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概要
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【はじめに】<BR>高次脳機能スケールには多くのものがあるが、その大半は痴呆を対象としたスケールであり、代表的なものに改訂長谷川式簡易知能評価スケール(以下HDS‐R)がある。これは簡便かつ精度が高いため広く臨床に使用されてきた。近年、日本脳卒中学会により脳卒中高次脳機能(知的機能)スケール(以下JSS‐H)が作成、報告された。この評価スケールは脳血管性痴呆やその他の痴呆の評価を意図して作成されている。そこでこの2つの評価法にどのような関係があるかを比較・検討した。<BR>対象と方法】<BR>対象は平成14年4月から平成15年11月までに当院デイケアに通所している79名のうち脳の画像診断にて何らかの異常をきたした55名(男性18名、女性37名)とした。平均年齢は81.7歳である。<BR>方法は、日本脳卒中学会により作成されたJSS‐H(10項目の質問の合計点にconstantの値を加え、数量化)を使用し、痴呆を評価した。この結果をほぼ同時期に測定したHDS‐Rと比較した。<BR>【結果】<BR>(1) Spearmanの順位相関にてp=0.85となり、JSS‐Hの点数とHDS‐Rの点数には相関関係が認められた。<BR>(2) JSS‐Hの点数を最高30点、最低0点に換算し、比較したところ、HDS‐Rが20点以下の対象者では両者の結果に乖離を認めた。<BR>(3) 項目別にみると、図形構成、考えの切り換え全体的に点数が低かった。<BR>【まとめ】<BR>JSS‐Hを実際に使用した結果、HDS‐Rと併用して利用していくことで、個々の患者の特性を把握することが可能ではないかと考えられた。<BR>今後も経時的な推移を追っていくと同時に実際に個々の障害に応じてどのようなアプローチができるかを検討していきたい。
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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