訪問リハビリテーション利用者の活動性
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概要
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【目的】在宅の障害者は、家庭に引きこもりがちで、心身共に活動性の低下した状態に陥りやすく、外出機会や他者との交流の場も減少し生活圏が狭小化しがちである。今回、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)利用者の活動状況について調査したので報告する。<BR>【方法】対象者は、平成13年10月から平成15年11月までに訪問リハを担当した41名(男性21名、女性20名)平均年齢76.4±12.3歳である。方法は、担当時点での対象者を家屋内の移動手段で、車椅子群(介助を含む)、車椅子と歩行の併用(以下、併用群)、歩行群の3群に区分し外出頻度(介助を受けて行うものも含む)、通所利用者、自主訓練(家族による場合も含む)の有無を調査した。また、対象者の日常生活範囲を居室内群、家屋内群、1日の生活の中に、屋外活動を含む家屋外群に区分し機能的自立度評価法(FIM)にて比較検討した。 <BR>【結果】外出頻度は、車椅子群(5名)では、1週間に1回以上が3/5、月1回の受診時のみが2/5。併用群(2名)では、1週間に1回以上が1/2、月1回の受診時のみが1/2。歩行群(34名)では、1日に1回以上が5/34、1週間に1回以上が16/34、月1回の受診時のみが10/34、往診にて外出無しが3/34。対象者全体で、病院と通所以外での外出がある者は、4/41。通所利用者は、車椅子群では3/5、併用群では0/2。歩行群では9/34。在宅で何らかの自主訓練を定期的に施行している者は、車椅子群では1/5、併用群では1/2。歩行群では19/34で内容は、歩行が中心だった。居室内群(3名)、家屋内群(30名)、家屋外群(8名)の群間において、家屋内群は、居室内群よりセルフケア(p<0.01)、排泄コントロール(p<0.01)、移乗(p<0.01)、移動(p<0.01)のFIMの項目得点において有意に高かった。家屋外群は、家屋内群よりセルフケアの清拭(p<0.05)と風呂への移乗(p<0.05)において有意に高かった。<BR>【考察】在宅の障害者は家屋外、家屋内、居室内へと活動範囲が狭小化するにつれ、日常生活動作能力が低下する傾向を認めた。月1回の受診時のみの外出、若しくは外出機会のない者は、全体で4割ほど存在し、且つ自主訓練も施行していない者は2割いた。訪問リハ時に、より外出機会の創出と習慣化を図り、活動性向上を促す必要がある。自主訓練においては、意義、必要性の理解不足が継続の阻害因子となっている場合が少なくない。家族指導も含め指導法の改善を要す。<BR>【まとめ】在宅の障害者は日常生活範囲が、狭小化するにつれて日常生活動作能力が低下する傾向を認めた。また、月1回の受診時のみの外出、若しくは外出機会のない者は、訪問リハ利用者全体で4割存在し、且つ自主訓練も施行していない者は2割いた。
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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