頭頂マーカーによるトレンデレンブルグ跛行の動作解析の有効性:3次元動作解析装置を用いて
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概要
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【目的】<BR>トレンデレンブルグ跛行は立脚期に対側の骨盤が下垂する特徴的な跛行を呈する。そのため、さまざまな評価方法が考えられている。しかし、どれも複雑でなかなか簡便な方法がない。また、前回の学術集会においてトレンデレンブルグ跛行の歩行開始時の頭頂の動揺性について報告をした。しかし、歩行中についての問題点が残っていた。そこで今回トレンデレンブルグ跛行の簡便な方法として、歩行中の頭頂の左右への動きがトレンデレンブルグ跛行の指標となると考え知見を得ることができたので報告をする。<BR>【方法】<BR>3次元動作解析装置アクタナ(ライブラリー社製)を用いて、通常歩行とトレンデレンブルグ跛行の歩行を解析した。被験者はトレンデレンブルグ跛行を呈している群(T群)3名(男性1名、女性2名、平均年齢67.6歳、平均身長153±8.81cm)健常者群(N群)7名(男性3名、女性4名、平均年齢27.7歳、平均身長162.2±7.82cm)であった。測定部位は頭頂の左右の耳孔からの中点Czの位置に反射マーカーを置いた。そして1歩幅ずつのCzの左右軸の動きを算出して各側の最大変位距離を算出した。歩行の安定性を図るために歩行開始から1周期は除外して解析を行った。また、N群では非軸足/軸足の変化率を、T群では患側/健側の変化率を比較した。統計的手法はStudent t-testを用いて危険率5%にて有意差有りとした。また被験者については研究内容を十分に説明を行い同意を得た。<BR>【結果と考察】<BR>N群の軸足立脚期の最大変位距離は平均2.03±0.86cmであり、非軸足立脚期の最大変位距離は平均2.96±0.96cmであった。T群についは健側立脚期の最大変位距離は平均1.96±0.73cmであり、患側立脚期の最大変位距離は平均2.90±1.36cmであった。N群の左右軸の非軸足/軸足の変化率は1.01±0.57であった。T群の左右軸の患側/健側の変化率は1.54±0.53であった。N群とT群に有意差(p>0.05)が認められた。歩行中の骨盤の下垂が影響して頭部の左右への変位距離を増していると考えられる。そのためトレンデレンブルグ跛行により、頭部の左右への動揺が大きくなり、跛行を呈していない健常者と比較して有意差が認められたと考える。トレンデレンブルグ歩行の指標として骨盤の低下や、大転子の角度が指標とされることが多い。しかし今回の結果から歩行中の頭頂Czのよる変位距離の変化が、簡便にトレンデレンブルグ跛行の指標となることが示唆された。今後はCzの移動距離が股関節外転筋力と相関関係にあるか今後の検討課題としたい。<BR>【まとめ】<BR>トレンデレンブルグ跛行の動作解析には頭頂マーカーが簡便な指標となることが示唆された。今後股関節外転筋力の関係を検討する必要がある。
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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