MRIによる膝関節回旋可動域の計測
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概要
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【はじめに】昨年、われわれは本学術大会にて健康成人の膝関節回旋可動域を測定し、報告した。しかし、膝関節の回旋可動域は股・足関節の状況、測定方法などに影響を受ける可能性が高い。そこで今回、これらの問題点に対応し、純粋な膝関節の回旋可動域を計測するため、MRIを用いて膝関節の回旋可動域を計測したので報告する。【対象】膝関節に問題のない健康成人10名、男性6名、女性4名、平均年齢26.6±4.4歳を対象とした。被験者は今回の研究の趣旨が十分に説明され、同意を得た上で研究に参加した。【方法】測定は被検者に仰臥位で股関節内外転0°、内外旋0°、膝関節屈曲50°の姿勢をとらせ行った。この姿勢を固定するために、膝下に三角枕、両膝間にウレタン製クッションを設置し、さらにベルトで両大腿部を強固に固定した。以後MRIでの撮影は総てこの肢位にて行った。MRIはTOSHIBA製FLEXART 0.5Tを使用し、膝関節裂隙下から3スライスで、膝関節回旋中間位、自動での膝関節外旋位・内旋位、他動での膝関節外旋位・内旋位の順序にて撮影を行った。膝関節回旋の角度は被写体回旋中間位の大腿骨と脛骨の2スライス上に作成した任意の線を基準線とし、各肢位での基準線の偏位を角度計にて測定することにより得た。【結果】自動での全回旋可動域、外旋可動域、内旋可動域は平均でそれぞれ、6.9±3.82°、4±4.22°、2.9±4.51°であった。他動での全回旋可動域、外旋可動域、内旋可動域は平均でそれぞれ、17.7±5.47°、8.85±4.56°、8.85±5.96°であった。【考察】昨年、本学術大会にて、我々は膝関節の全回旋可動域、大腿中足位からの外旋、内旋の角度は平均でそれぞれ、33.3±7.8°、26.4±7.2°、6.7±5.4°、また自然中間位は大腿中足位から平均で1.4±5.8°外旋した位置にあったとして、膝関節回旋可動域に関して若年成人の正常値を始めて明らかにした。今回の結果は、昨年の我々の報告と比べ、内旋可動域は大差がないものの、外旋可動域は約3分の1の可動性という測定結果となっている。今回の結果は昨年の報告と比べて測定肢位が異なるものの、純粋な膝関節の回旋可動域である。この結果の差は、股関節、足関節、足部などの動きが影響している可能性が考えられる。【結論】健康成人10人において、股関節内外転0°、内外旋0°、膝関節屈曲50°の仰臥位にて、膝関節回旋可動域をMRIにて測定した。測定値は自動での全回旋可動域、外旋可動域、内旋可動域は平均でそれぞれ、6.9±3.82°、4±4.22°、2.9±4.51°であった。他動での全回旋可動域、外旋可動域、内旋可動域は平均でそれぞれ、17.7±5.47°、8.85±4.56°、8.85±5.96°であった。
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公益社団法人 日本理学療法士協会 | 論文
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