総胆管腫瘍と鑑別困難であった総胆管異所性膵の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
はじめに:異所性膵は,通常の膵臓との連続性のない場所に存在する膵組織を指す.胆道系に認めることは稀であるとされている. 症例:68歳,女性.前医のスクリーニング目的のCTにて中部胆管に腫瘤性病変を指摘された.胆管腫瘍の診断で,肝外胆管切除を行った.中部胆管壁に異所性膵組織を認め,腺房細胞と導管から構成されるHeinrichⅡ型であった. 考察:総胆管異所性膵は稀であり,これまでに自験例を含めて16例の報告がある.年齢の中央値は57.5歳.本邦においては全て女性であった.主訴は,上腹部痛と黄疸が多く,総胆管結石などの併存疾患との関連が考えられ,無症状で発見された例は本症例を含めて2例のみであった.総胆管異所性膵は,胆汁の鬱滞により黄疸,胆管炎などの原因となりえる.また,胆管内での膵液産生による胆道癌の危険群ととらえる報告もあるため,無症状であっても積極的な手術を考慮すべきであると考える.
- 日本外科系連合学会の論文
日本外科系連合学会 | 論文
- 大腸内視鏡検査後に横行結腸の大網穿通により皮下気腫・後腹膜気腫を発症した1例
- 食道神経鞘腫の1例
- 切除不能・再発大腸癌に対し,2次治療以降に行ったmFOLFOX6療法の治療成績
- Composix Mesh®を用いて腹腔鏡下に修復したMorgagni孔ヘルニアの1例
- 膀胱癌術前検査のMRI拡散強調画像で発見された直腸S状部癌の1例