切除範囲の決定に術前mapping biopsyが有用であったpagetoid spreadを伴う肛門管癌の1例
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概要
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症例は73歳女性で,持続する肛門周囲の痛みのため皮膚科を受診し,肛門部に4cm大のびらんが認められた.同部位の生検でPaget病と診断され,精査加療目的で当科紹介となった.精査の後にPagetoid spreadを伴った肛門管癌と診断し,mapping biopsyを施行した.肛門部のびらん外側縁から2cmの距離をとって全周性に生検を施行したが,いずれの部位にも腫瘍は認められなかった.手術はmapping biopsy部分を切除ラインとした腹腔鏡下腹会陰部式直腸切断術,膣壁合併切除を施行した.病理組織学的検査所見では,中分化腺癌と肛門周囲びらん部にPagetoid spreadがみられた.膣壁に浸潤が認められたが,切除断端は陰性であった.直腸肛門管癌の症例で肛門周囲皮疹を認める場合には,術前のmapping biopsyが切除範囲を正確に同定するために有用であると考えられた.
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日本外科系連合学会 | 論文
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