悪性転化を伴った成人仙尾部奇形腫の1例
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概要
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症例は65歳,女性.2008年1月から肛門部違和感が出現したため近医を受診した.直腸粘膜下腫瘍が疑われ,精査加療目的で2月当院紹介受診した.大腸内視鏡検査では直腸粘膜に病変はなく,CT,MRIで直腸背側に10×9cmの多房性嚢胞性腫瘤を認め,子宮の右側に径4cmの嚢胞様腫瘤も認めた.骨盤内嚢胞性腫瘍および右卵巣奇形腫と診断し,同年4月腫瘍摘出術施行.腫瘍は直腸間膜内に存在し,肛門の温存は困難であったため直腸切断術を施行,右付属器摘出術も併施した.術後の病理組織学的検査では,奇形腫でありadenocarcinomaの並存も認め,悪性転化を伴った成人仙尾部奇形腫と診断した.右卵巣は成熟嚢胞性奇形腫であった.成人仙尾部奇形腫は一般的には良性疾患として扱われるが,稀に悪性転化をすることもある.本疾患の治療としては根治手術と適切な術後治療が必要と考える.
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日本外科系連合学会 | 論文
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