化学療法により切除可能となった悪性線維性組織球腫多発性肺転移の1例
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概要
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症例は71歳の男性.9カ月の経過で増大する20×20cmの左大腿軟部腫瘍を主訴に当院を受診した.生検の組織診断は悪性線維性組織球腫(MFH)であり,股関節離断術を施行した.術後3カ月で両肺の10箇所以上に及ぶ転移が出現した.切除不能と考え,化学療法(MAID療法変法)を5コース行った.左下葉の転移巣は縮小し,その他の転移巣は消失したため,左下葉を切除した.股離断の20カ月後と55カ月後に右肺中葉に転移が1個ずつ出現し,股離断の65カ月後には大網転移が出現したが,その都度切除した.股離断から68カ月後の現在,遠隔転移はない.支持療法の進歩により高用量の化学療法が施行可能となり,新しい抗悪性腫瘍剤も登場している.化学療法が無効と考えられてきたMFHなどの軟部肉腫における切除不能の多発性肺転移に対して,化学療法は試みる価値があると考えられる.
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