小腸穿孔の原因となった魚骨が肛門側腸管に移動した1例
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概要
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症例は60歳,男性.統合失調症で治療中.下腹部痛の精査のため紹介入院した.腹痛出現36時間後に撮影したmultidetector CT(MDCT)で終末回腸の壁肥厚を認めたが,確定診断は得られなかった.翌日に得られた三次元再構成CT画像で,小腸を貫通した2.5cm長の線状高吸収域を認めた.2日前に鰤の煮付けを食べたことから,魚骨による小腸穿孔と診断し,開腹手術を施行した.回腸に約2mm大の穿孔を認めたため,回腸部分切除を行ったが,切除標本内に魚骨を認めなかった.腹腔内にも魚骨を認めず,術中小腸・大腸内視鏡を行うも,魚骨を確認できなかった.第15病日に行ったMDCTで直腸内に移動した魚骨を確認し,大腸内視鏡で摘出した.小腸穿孔の原因となった魚骨が手術時に穿孔部位に存在しないことは稀であるが,そのような症例を想定して,手術直前にMDCTを再度撮影するか,手術中にMDCTが撮影できる準備をしておく必要があると考えられた.
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日本外科系連合学会 | 論文
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