乳癌死ひとりを回避するのに必要な日本人女性のマンモグラフィ検診必要対象者数
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概要
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2009年に米国予防医学専門委員会(U.S. Preventive Services Task Force; USPSTF)は乳癌検診ガイドラインを改訂し,40~49歳の定期的な乳癌マンモグラフィ検診については,個人ごとに利益と不利益を勘案して判断することを勧めるとした。この理由の1つとして,メタアナリシスの結果から40~69歳のすべての年齢階級においてマンモグラフィ検診による乳癌の死亡率減少効果はあると判断できるものの,1人の乳癌死亡を回避するのに必要な検診対象者数(the Number Needed to Invite; NNI)は,50~69歳に比べて40~49歳の間で大きいことを挙げた。しかし,USPSTFの推計はランダム化比較試験のそれぞれの観察年数の違いを考慮しておらず,40歳代のNNIを過大評価しているため,観察年数の違いを考慮したNNIを推計し直した上で,日本のNNIを推計することを目的とした。NNIの推計方法はUSPSTFの推計と同様の方法を用いたが,日本にはNNIを算出するために必要なマンモグラフィ受診勧奨群と未勧奨群の累積死亡率の絶対差や相対リスクの情報がないため,受診率の低い日本人女性の死亡率は,欧米のマンモグラフィ未受診勧奨群の死亡率と同様と仮定し,相対リスクはUSPSTFによるメタアナリシスの結果を用いた。日本人女性のNNIとUSPSTFが報告したNNIを比較すると,40~59歳では同様の値であったが,60~69歳の日本人のNNIはUSPSTFの報告の約2倍であった。エビデンスに基づいた推奨グレードを決定するには,マンモグラフィ受診における利益と不利益の実測を行った上で,利益と不利益のバランスを検討することに加え,数理モデル等による評価研究も必要である。
- 日本乳癌検診学会の論文
日本乳癌検診学会 | 論文
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