東京での職域乳癌検診の現状と今後の課題
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概要
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2003年度と2006年度の東京都内の事業所を対象とした職域検診と地域の住民検診について,年代,検診モダリティ,要精検率,癌発見率,陽性反応的中度について比較検討を行った。職業を持っている女性を対象としている職域検診では30歳代,40歳代の検診受診者が中心であった。検診モダリティでは,2003年度においては視触診単独検診が住民検診においても行われていたが,厚生労働省の通達により,40歳以上のマンモグラフィ検診が開始されてからは住民検診では90%以上がマンモグラフィに統一されてきている。しかしながら,職域検診では2006年度のデータにおいても視触診単独検診が24%見られた。職域検診は受診者の平均年齢が若く,40歳未満の受診者が2003年度で38.3%,2006年度でも35.7%であり,その検診モダリティは2006年度で視触診単独30.5%,マンモグラフィ35.9%,超音波30.5%とほぼ同数であり,30歳代の乳癌検診の指標が未だにないことに関連し,混乱が見られる。癌発見率は住民検診よりも職域検診の方が有意に低い結果となった。しかしながら,乳癌罹患数の多い40歳代,50歳代に限って検討すると,癌発見率に有意差はなかった。結論では,職域検診は住民検診に比べて,対象年齢や検診の方法などに住民検診と比較して相違があり癌発見率が低かったが,年代および検診方法を絞り込むと両者の間の差はなかった。今後の課題としては,職域検診は対象年齢を何歳からにするのか,その場合若年層の最適な検診方法は何であるのかなどを検討する必要があると考えられた。また,少なくとも40歳以上に関しては,住民検診にならった整備をしていくことで,より精度の高い,有効な検診となるのではないかと考えられた。
- 日本乳癌検診学会の論文
日本乳癌検診学会 | 論文
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