超音波による乳癌検診は死亡率を減少させるか(1)乳癌検診における超音波(US)の有用性について
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概要
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術前にMMGおよびUSを施行した乳癌856例をretrospectiveな解析の対象とし, USの有用性につき検討した。年齢は24歳から92歳まで, 平均54.7歳である。MMGにて所見の認められた症例は771例 (90.1%), 所見の認められなかった症例は85例 (9.9%), USで所見の認められた症例は835例 (97.5%), 所見の認められなかった症例は21例 (2.5%) であった。有意を持ってUSはMMGより多くの症例で所見が認められた (χ2検定 : p<0.0001)。MMGの年代別解析では, 70歳以上で所見の認められなかった症例は5.8%, 60歳代では5.7%であったのに対し, 50歳代では8.3%, 40歳代では11.1%, 40歳未満は26.2%と, 高濃度乳房になるに従い所見の認められる症例が減少した (χ2検定 : p<0.0001)。腫瘍径による解析では, 有所見率は, 3cmを超える大きな腫瘤は100%診断された。2.1~3.0cmでは99.4%, 1.6~2.0cmでは96.3%, 1.1~1.5cmでは94.3%, 1.0cm以下では75.4%と, 腫瘍径が小さくなるに従い要所見率は低下した (χ2検定 : p<0.0001)。MMGで所見が認められなかった症例は85例であったが, USでの所見は, 腫瘤が70例 (82.4%), USでも所見を認めていない症例は15例 (17.6%) であった。また石灰化のUSでの所見は, 高エコースポット+腫瘤像形成性病変として認められた症例が59例 (71.1%), 高エコースポット+腫瘤像非形成性病変として認められた症例が22例 (26.5%), まったく所見として認められなかった症例は2例 (2.4%) であった。この度の検討において, 50歳代においてMMGで所見の認められなかった症例が約1割存在したことはMMG併用のみの検診では約1割の人が見落とされる可能性を示唆しており, 50歳未満ではなおさらで, MMG, USともに相補する有用性を持っており, MMG, USの併用検診が勧められる。
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日本乳癌検診学会 | 論文
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