嚢胞羊水腔シャントチューブ留置術を行い生児を得た胎児水腫合併macrocystic congenital cystic adenomatoid malformationの1例
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概要
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胎児水腫を合併した先天性肺嚢胞性腺腫様形成異常(Congenital cystic adenomatoid malformation: CCAM)を待機的に管理した場合の予後は不良である.また,CCAM volume ratio(CVR)が1.6を超えるものが胎児水腫発症のリスクであることも知られている.今回我々は,妊娠20週で胎児水腫を呈したものの,妊娠22週で胎児嚢胞羊水腔シャントチューブ留置術を施行し嚢胞の縮小と胎児水腫の改善に成功,生児を得たmacrocystic CCAMの症例を経験した.本症例では初回治療時のCVRが2.0と高値であり,胎児胸腔内をほぼ病変が占拠する状態で,胎児水腫も来していた.嚢胞のドレナージが有効であり,心臓の圧排が解消されるとともに胎児水腫が消失し,生児を得ることができた.ただ,macrocystic CCAMでありながら嚢胞の数が多く,シャント術を行って2つの嚢胞を消失させることに成功したものの,ドレナージされていない複数の嚢胞がトータルとしてCVR換算で0.6-0.8程度で残存した.生後は正常肺が十分に膨らむに至らず,肺高血圧治療に難渋することとなった.胎児水腫を合併したmacrocystic CCAMに対するシャントチューブ留置術の循環動態改善効果は示されたが,多房性のmacrocystic CCAMにおいては,肺低形成の予防の観点から胎児治療の適応と方法をさらに検討する必要があると考えた.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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