Acoustic Radiation Force Elastographyにおける音響放射力印加時の温度上昇に関する実験的検討
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概要
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<B>はじめに</B>:Acoustic radiation force (ARF) elastographyは,生体組織の定量的な硬さの画像化に有用であると期待されている.しかし,ARFの生成に用いられる"プッシュ波"は,通常の臨床画像に使用されている波よりも比較的長いバースト波であるため,生体組織の安全性に関する調査が課題である.<B>対象と方法</B>:本論文では,プッシュ波の照射に伴う生体組織の温度上昇について調べた.特に,複数のプッシュ波を移動させながら繰返し照射した場合に,プッシュ位置より遠方に存在する生体組織の過渡的な温度上昇に着目した.軟部組織ファントムと骨の切片に対し,2 MHzの連続波を20秒間照射し,熱電対で温度上昇を計測した.実験で得られた温度上昇曲線をフィッティングし,変位計測に最低限必要な1 ms照射後の温度上昇を推定した.結果から,骨の熱感受性は軟部組織ファントムより36倍大きいことがわかった.また,プッシュ波を繰返し照射する場合,骨表面では,温度上昇の安全基準値である1℃を超える可能性があることがわかった.<B>結語</B>:骨表面における温度上昇を防ぐには,ARF elastographyを実行する前に,撮像視野の外を含むプッシュ波の伝搬経路を注意深く調査すること,および連続して観察を行う場合には,プッシュ波の繰返し周波数や観察時間を最適な値に設定する必要がある.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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