音響放射力を用いた焦点イメージング:強力集束超音波の熱凝固領域を予測する新たな方法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
<B>目的</B>:安全かつ確実な強力集束超音波(high-intensity focused ultrasound: HIFU)治療のために,事前に焦点位置を確認できる技術の開発が望まれている.本研究では,熱変性を引き起こさない低いエネルギーのHIFUパルスを照射し,音響放射力によって生じた変位を超音波で撮像して焦点を可視化する.<B>対象と方法</B>:照射終了から変位観察を行うまでの時間に関して,感度と正確度それぞれに最適な条件が異なる可能性がある.そこで,パルス照射終了から焦点撮像までの時間間隔を0.3 ms,0.8 ms,1.3 msとして変位画像を撮像し,描出された焦点領域を実際のHIFU照射による熱凝固領域と比較した.実験試料はブタ肝臓とした.<B>結果と考察</B>:どの条件でも十分な感度が得られることを確認した.一方,正確度については,0.3 msの撮像であれば,サイズ1.1 mm×3.6 mmのHIFU熱凝固領域を0.8 mmの正確度で予測できたが,撮影時刻が遅くなると,変位分布の変化により正確度と精度が低下することを確認した.この結果はせん断波の伝搬によって説明できた.焦点を正確に描出するためには,せん断波速度を考慮した条件設定で変位を撮像する必要があることが明らかになった.<B>結論</B>:焦点イメージングによって,術者は,熱凝固が起こる領域を事前に予測できるようになる.この技術は,HIFU照射のターゲティングの課題を克服するものであり,さらに超音波装置を使ったコンパクトなシステムなので,HIFU治療をより多くの医療機関,疾患へ普及させられる可能性を持っている.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
- 腎泌尿器疾患の超音波診断‐腎細胞癌の超音波像‐
- 左室内腔形態と左室内非同期(dyssynchrony)との関連についての検討
- 硬変肝表面結節像の超音波検査による分類―腹腔鏡検査による肝表面像との比較検討―:-腹腔鏡検査による肝表面像との比較検討-
- 腹腔鏡下手術に腹腔鏡用超音波が有用であった再発粘膜下腫瘍の1例
- 消化管超音波検査が術前診断に有用であった小腸憩室炎の1例