関節リウマチ患者における生物学的製剤休薬時の関節超音波検査の重要性
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概要
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関節リウマチ(RA)治療に生物学的製剤が導入され,治療の目標である臨床的寛解状態を達成できる患者が増えてきている.さらに,臨床的寛解状態が維持された後に生物学的製剤を休薬することが可能な症例も出てきている.今回我々は抗腫瘍壊死因子抗体製剤であるアダリムマブ(ADA)投与患者において,臨床的寛解の後にADAが休薬可能であった症例と休薬後にRAの活動性が再燃した症例を1例ずつ経験し,その休薬前後での関節超音波検査所見を比較検討したので報告する.症例1は41歳の男性で,メトトレキサート(MTX)とADAの併用療法によって12ヵ月以上臨床的寛解状態が維持された後にADAを休薬した.休薬前の超音波検査では両手指・両手関節にパワードプラ(PD)シグナルは陰性であった.ADA休薬後も3ヵ月にわたって臨床的寛解状態が維持できている.症例2は33歳の女性でMTXとADAの併用療法によって症例1と同じく12ヵ月間臨床的寛解状態が維持された後にADAを休薬した.休薬前超音波検査では右手関節にPDシグナル陽性所見が認められた.ADA休薬後1ヵ月で全身の関節に疼痛と腫脹が再燃した.炎症反応の上昇も認められ,高疾患活動性となった.このことから,臨床的寛解状態においても関節超音波検査においてPD陽性滑膜が認められる場合は,生物学的製剤の休薬後にRAの活動性が再燃する可能性が示唆された.
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一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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