胎盤血管腫の破綻により胎児貧血を起こした1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本報告は胎盤血管腫の表在血管が胎内において破綻し,胎児貧血を来たした症例の世界で初めての報告である.症例は29歳,0回経妊.他院で妊婦健診を施行していた.妊娠28週の妊婦健診で,羊水過多と胎盤腫瘤を指摘され,精査のため当院紹介となった.初診時の超音波検査で,羊水ポケット87 mmと羊水過多を認めた.胎盤表面にはカラードプラ法で血流が豊富に描出される65×80 mmの有茎性腫瘤を認めたため,胎盤血管腫の診断で入院管理とした.入院時は児の形態学的評価を含め,羊水過多以外に異常を認めなかったが,徐々に血管腫は増大した.妊娠31週6日,超音波検査で児の中大脳動脈血流収縮期最大速度の上昇を認め,また胎児心拍数波形にsinusoidal patternを認めたことから,胎児貧血による胎児機能不全と診断し,緊急帝王切開を施行した.分娩時,羊水は血性であり,胎盤娩出時に血管腫表面の一部破綻がみられた.児にはヘモグロビン8.3 g/dl,アルブミン1.5 mg/dlと,貧血と低アルブミン血症を認め,血小板が19.1×10<SUP>4</SUP>/μlと正常であったことから,胎児貧血の原因は血管腫の破綻と考えられた.胎盤血管腫の症例に胎児貧血を認めた場合には,血管腫の破綻も鑑別診断すべきと考えられた.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
- 腎泌尿器疾患の超音波診断‐腎細胞癌の超音波像‐
- 左室内腔形態と左室内非同期(dyssynchrony)との関連についての検討
- 硬変肝表面結節像の超音波検査による分類―腹腔鏡検査による肝表面像との比較検討―:-腹腔鏡検査による肝表面像との比較検討-
- 腹腔鏡下手術に腹腔鏡用超音波が有用であった再発粘膜下腫瘍の1例
- 消化管超音波検査が術前診断に有用であった小腸憩室炎の1例