超音波検査で乳腺の悪性病変を疑った胸壁デスモイド腫瘍の1例
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概要
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胸壁デスモイド腫瘍が乳腺内発育を示したきわめて稀な症例を経験したので報告する.症例は30歳,女性.2006年2月に左乳房に腫瘤を自ら触知した.しだいに疼痛が増強してきたため,7月に当院を受診した.マンモグラフィは両側とも腫瘤及び悪性石灰化を示唆する所見は認めなかった.超音波検査は左乳房の深部に不整形の低エコー腫瘤を認め,硬癌を疑った.穿刺吸引細胞診はclassIIで,明らかな細胞異型は認めなかった.経皮的針生検は間質膠原線維の増殖と炎症細胞浸潤を認めたのみで悪性所見を認めなかった.MRIでは漸増型の造影パターンを呈し,MRSではコリンピークを認めないことから良性の線維組織が疑われた.再度施行された超音波検査ではエラストグラフィ及びダイナミックテストが追加された.エラストグラフィでは胸壁の横方向に広い腫瘤部は硬く,乳腺内の腫瘤部は相対的に軟らかく描出された.MRI,超音波検査,針生検の所見から,胸壁デスモイド腫瘍の乳腺浸潤が疑われた.大胸筋を一部含めた腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は異型の乏しい線維芽細胞様細胞で構成された病変で,免疫染色の結果からもデスモイド腫瘍と診断した.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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