2次元スペックルトラッキング法により腫瘍周囲の潜在的局所心機能異常を検出しえた左室腫瘍の1例
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概要
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症例は74歳,男性.当院糖尿病内科に通院中,発作性心房細動を認めたため,2008年12月心エコー検査を施行したところ,左室後壁に2×5 cmの腫瘤を指摘された.手術歴や外傷歴はなく,3ヵ月後の心エコー検査でも腫瘤径は変化せず,全身のCT検査で悪性腫瘍を示唆する所見を認めないことから,良性心臓腫瘍と判断し,経過観察を行っていた.冠動脈CT検査で前下行枝に狭窄病変の存在が疑われたため,2009年12月に腫瘍精査も兼ねて入院となった.臨床所見及び,その形態やエコー輝度,CT所見から鑑別した結果,線維腫である可能性が最も考えられた.入院時の心エコー検査で,2次元(2D)スペックルトラッキング法を用いて長軸,短軸及び円周方向のstrain解析を行ったところ,腫瘍部位に一致する後壁基部に限局した局所心機能異常が認められた.冠動脈造影では,後壁を灌流する右冠動脈及び左回旋枝に狭窄病変を認めなかったことから,腫瘍の存在そのものが,局所心機能異常の原因の一つとなる可能性が考えられた.2Dスペックルトラッキング法は,左室腫瘍周囲の潜在的心機能異常の検出に有用である可能性が示唆された.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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