ペースメーカリードによる三尖弁逆流の成因について -断層心エコー図,Mモードエコー図による検討-
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概要
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<B>目的</B>:右室リードのペースメーカ植込み術後の合併症の一つである三尖弁逆流(TR)の成因について心エコー図を用い検討した.<B>対象と方法</B>:対象はVVIあるいはVVIRモードの恒久式ペースメーカ植込み術を受け,術前,術後に経胸壁心エコー図検査を施行した37例.TRが術前に認めない,あるいは軽度のTR(trace TR)で,術後TRが中等度以上新たに出現,あるいは増悪した8例をTR群とし,術前,術後ともにTRが軽度以下の29例を正常群とし,両群間にて以下の項目を比較検討した.観察期間は平均63ヵ月.2Dエコー図四腔像にて三尖弁接合部中央と右室心尖部を結ぶ線を基準線とし,基準線とリードのなす角度(挿入角度)を測定した.また,左室長軸像にてMモードエコー図を用い,リードの電気的刺激により生成される心室中隔の収縮早期notchが最大となる位置を同定し,さらに心室中隔を基部,中間部,心尖部において 最大となるnotchの大きさを測定した.<B>結果と考察</B>:(1)TR群は正常群に比べ,リードの挿入角度が有意に大であった.(2)Mモードエコー図にて心室中隔の収縮早期notchが最大となる位置は,TR群で心室中隔中間部あるいは基部であるのに対し,正常群では心室中隔下部であった.<B>結論</B>:右室ペーシング症例において,術後TRが増悪する成因は,リードが三尖弁接合部を斜めに横切り,心室中隔の高位にanchorし,三尖弁の主に中隔尖を圧排することにより,弁接合を障害することによると思われた.
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