血管エコー法によるcomplexプラークとプラーク不安定化との関連
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概要
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動脈硬化性プラークのうち,表面不整なプラーク,潰瘍性プラークもしくは可動性を有するプラークはcomplexプラークと呼ばれる.これまで,経食道心エコー法や頸動脈エコー法などの血管エコー法にて検出された大動脈弓や頸動脈のcomplexプラークの存在は,脳卒中発症の重要な危険因子であることが報告されている.一方,動脈硬化のもう一つのアプローチとして血中バイオマーカーによるものが挙げられる.動脈硬化が炎症と関連することが明らかになり,幾つかの炎症性バイオマーカーが動脈硬化やプラークの不安定化に関連することが示されている.炎症性バイオマーカーの代表であるC反応性蛋白(CRP)に加え,近年,単球‐マクロファージ系の活性マーカーであるネオプテリンが注目されている.これまでネオプテリンは,冠動脈プラークの不安定化に密接に関連することが示されている.最近,我々は頸動脈エコー法によりcomplexプラークが検出された群において,血中高感度CRP値とネオプテリン値が高値であることを報告し,また免疫組織化学的検討により頸動脈complex プラーク内にネオプテリンの高度な集積像を認めることを明らかにした.Complexプラークとこれらの炎症性バイオマーカーが密接な関連を有することより,血管エコー法により検出されたcomplexプラークは,プラーク不安定化に関連することが示唆される.したがって,血管エコー法によりプラークのcomplexityを観察することは,プラーク不安定化を評価する上で重要であると考えられる.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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