Virtual Histology IVUS (VH-IVUS)を使った冠動脈病変の解析:冠動脈危険因子と多価不飽和脂肪酸のプラーク性状への影響
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概要
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血管内超音波(IVUS)検査は,冠動脈インターベンション治療(PCI)時に,病変部の血管径,プラーク量とその性状を評価し治療戦略を決定,PCI後はステントが十分に拡張されているかどうかなど結果の評価を行うことで,PCI手技自体の安全性と確実性を高め,かつ予後を改善させることが証明されている.さらに,IVUSのシグナル処理により,プラークを四つの成分(fibrous, fibrofatty, necrotic core, dense calcium)に分類するVH-IVUS<SUP><SUP>®</SUP></SUP>法が開発され,IVUSは,プラーク内の組織性状をより詳細に描出し病態生理を理解する上でも有用となっている.四つの成分の中のnecrotic core(NC)はプラーク不安定化の指標と考えられ,%NC量が多く(>10%)かつ血管内腔に接し,プラーク量が血管断面積の40%を超えるものはVH-TCFAとされ,vulnerable plaqueの特徴とされる.VH-TCFAは将来の冠動脈イベントを予想する因子であることもPROSPECT研究で示されている.我々は,VH-IVUSで得られるNC量を規定する因子が何であるかを検討し,多価不飽和脂肪酸ω6/ω3バランスの一つであるAA/EPA比が,安定狭心症及び急性冠症候群どちらの場合も%NCに強く正相関していることを示した.また,VH-IVUS<SUP><SUP>®</SUP></SUP>を使ったプラーク性状の変化を見ることで,statinなどの薬効評価にも役立つことが示されている.VH-IVUSは,冠動脈プラークの病態生理を明らかにする上で,今後益々重要性が高まることが予想される.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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