心エコー検査中に著明な壁運動の変化を呈した急性冠症候群の1例
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概要
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症例は63歳,男性.心筋梗塞にて冠動脈形成術の既往あり.早朝,強い前胸部痛を自覚し当院に緊急搬送された.来院時心電図ではST変化は明らかではないが,以前と比べ右脚ブロックへ変化していた.血液検査では心筋逸脱酵素の上昇もなくトロポニンTも陰性であったが,臨床症状より急性冠症候群が疑われたため心エコー検査を施行したところ,前壁中隔は無収縮を呈していた.しかし,4分後,壁運動異常は著明に改善し,壁運動異常部位は認められなくなった.14分後には,同部位において再度壁運動異常が出現し低収縮となった.検査終了後に施行した2Dスペックルトラッキングによる画像解析では,4分後の画像ではpostischemic diastolic stunningを,14分後の画像ではpostsystolic shorteningが確認された.緊急冠動脈造影を行ったところ,以前左前下行枝に留置されたステント内に90%狭窄が認められ,同部位に冠動脈形成術を施行した.今回我々は,心エコー検査中に著明な壁運動の変化を呈した稀な症例を経験したので報告する.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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