自己免疫性膵炎の造影超音波診断所見
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概要
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自己免疫性膵炎とはびまん性もしくは一部の膵腫大と膵管狭細像,高γグロブリン血症,高IgG血症や自己抗体の存在,ステロイド治療が有効など,自己免疫機序の関与を示唆する所見を伴う稀な慢性膵炎である.多くの症例は総胆管の拡張を伴うが,主膵管の拡張は認めない.ハーモニックイメージによる造影超音波はアーチファクトがなく,膵腫瘤性病変の血管と濃染を評価することが可能である.自己免疫性膵炎と膵臓癌患者におけるLevovist<SUP>®</SUP>とSonazoid<SUP>®</SUP>による造影超音波の撮影方法であるが,両造影剤とも造影剤注入後約一分以内の数十秒間に病変の血管と濃染を経時的に観察し(early phase),造影剤注入後約1分半から3分の間に数秒間で腫瘍濃染を観察した(delayed phase).膵臓癌ではearly phaseで腫瘍血管を認めるが,自己免疫性膵炎では明らかな腫瘍血管は認めなかった.膵臓癌では病変部の辺縁部が濃染され,自己免疫性膵炎では腫瘤全体が濃染した.自己免疫性膵炎の造影超音波での濃染の程度は,炎症が強く線維化が幼若な状態ほど濃染が強く,炎症が軽く線維化が古いほど濃染が弱かった.ステロイド治療後は炎症が沈静化し,造影超音波では濃染の程度が弱くなった.造影超音波は自己免疫性膵炎の血管性状と濃染の評価に有用であり,自己免疫性膵炎と膵臓癌との鑑別に有用である可能性がある.
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一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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