E/E'軽度上昇心疾患患者における左房容積係数測定の有用性
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概要
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<B>背景</B>:近年,心エコー図検査における左室拡張能の指標として,パルスドプラ心エコー図法を用いた僧帽弁血流速波形の拡張早期波(E波)と組織ドプラエコー法を用いた拡張早期僧帽弁輪速度(E')の比であるE/E'の有用性が認められており,左室拡張末期圧(LVEDP)や肺動脈楔入圧(PAWP)と相関することが知られている.しかし,E/E'の上昇が軽度(8≤E/E'≤15)の場合,その意義は小さいことが報告されている.また,拡張能に関する指標として,左房容積係数(LAVI)が注目されている.<B>目的</B>:E/E'軽度上昇例に対しLAVIを併せて計測することでPAWP上昇を推定できるか検討した.<B>方法</B>:当院CCUに入院しスワンガンツカテーテルを挿入された冠動脈疾患患者のうち心房細動および高度僧帽弁閉鎖不全症例を除外した連続58例を対象に心エコー図検査を施行した(Philips社製SONOS5500および7500,S3探触子).全症例でE/E'とLAVIの計測を行った.<B>結果</B>:23症例がE/E'軽度上昇に該当した.E/E'軽度上昇の23症例では,E/E'とPAWPとの間に有意の相関を認めなかった.一方,LAVIは全症例でもE/E'軽度上昇例に限定してもPAWPとの間に有意な相関関係が維持された.<B>結論</B>:E/E'軽度上昇例では,LAVIによりPAWPを推定でき,その測定が有用である可能性が示唆された.
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一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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