心エコー所見正常者の拡張能を含む心機能の男女差
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概要
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左室収縮機能だけでなく拡張機能には性差があるという報告がある.しかし日本人の左室拡張機能についても同様の性差が存在するかどうかについての報告は見当たらない.この研究の目的は左室駆出率正常者で心エコー所見ほぼ正常者の左室拡張機能を含めた男女差について検討することである.左室駆出率65%以上で心エコー所見正常の,60歳以下の男108例,女55例,計163例を対象にした.さらに高血圧や糖尿病の影響を除くため,これらの症例を除いた134例(男85例,女49例)でも結果を解析した.左室駆出率(LVEF),拡張早期波(E),心房収縮期波(A),E/A比,E波の減速時間deceleration time(DcT),Tei index,駆出時間(ET),等容拡張時間(IRT),等容収縮時間(ICT)および左室心筋重量係数(LV mass index)を求めた.残りの134例ではLVEFには男女で有意差は無かった.E波(79±19 vs 69±15 cm/s)は女性が男性に比べ有意(p<0.005)に速かった.しかしA波,E/A比,DcTには有意差は無かった.ET(311±23 vs 292±31 ms)は女性が男性に比べ有意(p<0.005)に長かったが,ICT, IRTに有意差は無かった.そのためか,Tei index(0.38±0.11 vs 0.44±0.12)は女性が男性に比べ有意(p<0.005)に小さかった.LV mass index(102±29 vs 119±25 g/m<SUP>2</SUP>)は女性が男性に比べ有意(p<0.005)に小さかった.心機能の評価には性差に注意する必要がある.
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一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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