膵の超音波診断 膵管内超音波検査法
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概要
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教室では,1991年より膵管内超音波検査法(IDUS)を臨床応用し,膵疾患診断に際し積極的に施行してきた.本稿ではその歴史と進歩に併せ,具体的な走査法や正常画像および各種膵疾患診断におけるその臨床的意義について言及する.膵管内IDUSは,元々,血管内用に開発された超音波プローブを消化器領域に応用し,膵管内へアプローチしたことに端を発するものである.現在は,オリンパス社製またはアロカ社製の20MHzあるいは30MHzの超音波プローブが主として用いられ,臨床的には乳頭切開術を付加することなく,内視鏡的逆行性膵管造影検査に引き続き施行される.開発当初は走査性や画質にやや問題があったが,基本的に安全且つ容易に実施し得,リアルタイムに膵の精密横断画像が安定して得られるようになっている.本検査法の最もよい適応疾患の一つとして膵管内乳頭腫瘍が挙げられ,主膵管型では浸潤の有無や外科的切離線の決定,分枝型では質的診断や局在診断により手術適応の決定に有用である.主膵管狭窄例の診断に際しては,悪性例では狭窄部近傍において描出される癌部と非癌部の辺縁不整な境界の存在が膵炎との鑑別点となる.また膵島細胞腫の診断に際しては病変の局在診断に有用であり,主膵管と病変の距離も正確に認識可能である.膵管内IDUSはこれら臨床上頻度の高い膵疾患の診断に際し,有用な情報を提供する精密検査法と位置付けられる.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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