膵の超音波診断 膵腫瘍の超音波診断
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概要
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膵腫瘍には,上皮性のものと非上皮性のものがあり,形態的には充実性腫瘍と嚢胞性腫瘍に分かれる.上皮性充実性腫瘍としては膵管癌が代表的で他に腺房細胞腫瘍,多形細胞癌,内分泌腫瘍が含まれる.嚢胞性腫瘍としては漿液性嚢胞腫瘍,粘液性嚢胞腫瘍,膵管内乳頭粘液性腫瘍があり,いずれにも良性腫瘍と悪性腫瘍が存在する.非上皮性腫瘍としてはリンパ腫,脂肪腫,線維腫,血管腫などがあるが,きわめて稀である.超音波検査には,存在診断としてのBモード法,性状診断や進展度診断としてのカラードプラ法(CDI),造影エコー法(CEUS)や内視鏡下超音波(EUS),膵管内超音波(IDUS)があり,それぞれを適切に組み合わせることにより診断能が高まる.例えば,通常型膵管癌においては,まず体外式Bモード超音波で腫瘤を描出し,カラードプラで血流動態を把握し,造影エコーにて内分泌腫瘍や炎症性腫瘤と鑑別し,EUSで膵外進展や脈管浸潤度を評価する.また,膵管内乳頭粘液性癌の診断においては結節の大きさや深達度を診断するためにIDUSが付加される.嚢胞性腫瘍では,粘液性嚢胞腫(MCT)と漿液性嚢胞腺腫のmacrocystic typeとの鑑別,MCTと膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMT)の分枝型との鑑別が特に問題となる.それにはEUSやCEUS,ダイナミックCT,MRI像などを組み合わせて総合的に診断されるが,基本画像は何といっても超音波像である.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文
一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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