肝生検後の胆道出血の1例:自然消退への経過とカラーモザイク所見の推移について
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概要
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胆道出血は, 経皮経肝的穿刺手技において注意すべき合併症の一つで, 仮性動脈瘤の関与が指摘されている. 我々は, 自然消退への経過を示した経皮的肝生検後の胆道出血例を経験した. 本例の臨床経過において, カラードプラを用い, 仮性動脈瘤に対応すると考えられたカラーモザイク所見の推移を観察したので報告する. 症例は63歳, 女性, 自己免疫性肝硬変. 経皮的肝生検後に, 腹痛, 肝胆道系酵素の上昇と貧血の進行を認めた. カラードプラ法では, 肝右前区域にモザイク信号を呈する小瘤状部を認め, FFT波形解析にて高度の乱流所見を示していた (カラーモザイク). 肝生検施行部との対応から, 穿刺手技後の肝仮性動脈瘤と, それに伴った胆道出血が強く疑われた. 緊急入院後, 内視鏡的逆行性胆道造影検査にて胆道出血が確認されたため, 経鼻的胆道ドレナージを留置した. 経動脈的塞栓術の適応を考慮しつつ保存的に経過を見ていたが, その後は胆道出血を認めなかった. 肝生検2週後の超音波では, カラーモザイクは微弱化し, 乱流所見は軽減していた. さらに, 9日後の超音波では同所見は消失し, その後, 再発を見ていない. カラードプラ法におけるカラーモザイク所見は, 本症の診断, 経過観察に有用と考えられた.
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一般社団法人 日本超音波医学会 | 論文
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