第18回心臓性急死研究会 Dor手術後の重症心不全の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は73歳,男性.1985年に冠動脈2枝バイパス術を施行され,2001年にグラフト閉塞,うっ血性心不全を来し,冠動脈4枝バイパス術,Dor手術および心外膜リードによる心臓再同期療法(CRT)を施行された.以後,心不全徴候なく安定していたが,2004年12月初めよりうっ血性心不全が増悪.心電図は心房細動とVVIによる間欠的両室ペーシングを示していた.12月16日両室ペーシングレートを70ppmより90ppmに上げ,ペーシング率を上昇させた.その後12月19日に心室細動による失神発作を来し緊急入院となる.組織ドプラ検査では,両室ペーシングによりQRS幅は若干狭くなったが,左室asynchronyは増悪していた.本症例では両心室ペーシングが心室細動の誘因となった可能性が考えられた.心房細動の除細動後に植込み型除細動器(ICD)植え込み術を施行し経過は良好である.<BR>CRTの長期的な管理においては,ペーシング環境の変化により両室ペーシングによる催不整脈作用が発生する可能性に留意する必要があると考えられた.
- 公益財団法人 日本心臓財団の論文
公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
- 臨床 発作性上室性頻拍症の自然停止様式
- 症例 急性心筋梗塞を合併した大動脈炎症候群の1剖検例
- 臨床 さまざまな疾患に出現する臥位性期外収縮の分析
- 第46回循環器負荷研究会 特発性心室頻拍の高周波カテーテルアブレーション前後での運動負荷試験に対する反応:電気生理学的検査(心室プログラム刺激)との比較検討
- 症例 2種類の心房周期をもつ慢性心房頻拍の1例