臨床 発作性上室性頻拍症の自然停止様式
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概要
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発作性上室性頻拍症(以下PSVT)の内,自然停止が認められた32例を対象に,自然停止部位,停止までの持続時間を調べ,その停止様式について検討した.<BR>副伝導路を介して旋回する頻拍症(以下AP-RT)19例の自然停止部位は,90%の症例で房室間(AV)または室房問(VA)に一定しており,AV間58%, VA間32%であった.残りの10%ではAV間,VA間双方での停止が認められた.AP-RT例(房室結節を含む通常の伝導路を順行性に,副伝導路を逆行性に旋回)のうち,AV間でブロックされ停止するPSVTは主に房室結節で,VA間でブロックされ停止するPSVTは副伝導路でそれぞれ停止すると考えられているが,今回の検討でAP-RT例の過半数の症例がAV間で停止したことによりAP-RT例には房室結節で停止する症例が多いと考えられた.房室結節リエントリー性頻拍症については,一定の傾向は認められなかった.<BR>PSVT発生後,自然停止するまでの持続時間は5秒以内である症例が多かった.この時期は頻拍に伴う血圧変動の影響を受けない時期であり,自律神経の関与は少なく,この時期に停止した症例の停止部位は,リエントリー回路内で最も不応期の長い部位(weak link)と一致すると考えられた.<BR>このように,PSVTのリエントリー回路のweak linkは自然停止部位および停止までの持続時間より推定可能であり,したがってこのweak linkに作用する薬剤を選択的に用いることで,より効果的な治療が可能と考えられた.
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公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
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